政治を私することの弊害──『新・平家物語』を読んで

読書

こんにちは。

神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士・北村です。

昔から秋の夜長の過ごし方として読書が勧められています。

今回は私の愛読書の一つである吉川英治先生の『新・平家物語』について記事を書きたいと思います。

平治の乱と源頼朝、そして平清盛

『新・平家物語』で興味深かったのは平治の乱後の平清盛の頼朝に対する処遇についての吉川英治先生の見方です。

平治の乱は貴族の対立から生じた政変で、源氏と平家が武力衝突します。

この乱で源氏は敗れ、源氏の棟梁である源義朝(頼朝の父)は配下の裏切りにあって殺されます。

頼朝は平清盛の義母である池ノ禅尼が助命を嘆願したことにより、命は助けられ伊豆に配流となります。

このとき伊豆に流された頼朝が後に立ち上がり、平家は滅亡することになります。

“政治を血族間で私する行為” “政治と家庭の混同”

興味深いことに、『新・平家物語』の作者である吉川英治先生は、平家滅亡の原因は池ノ禅尼にあるとしています。

池ノ禅尼による頼朝の助命嘆願は”政治を私する昨日までの通弊”、”政治を血族間で私する行為”、”政治と家庭の混同”であり、かつての藤原貴族を腐敗させたものである。
池ノ禅尼がそれを平家の政治に植え付けてしまった。

吉川英治(著)『新・平家物語 全十六冊合本版』吉川英治歴史時代文庫

こうした見方には驚きました。

私は、池ノ禅尼の慈悲の心は美しく、禅尼と頼朝の関係は源氏と平家を巡る物語の名シーンの一つだと思っていたからです。

平家の滅亡の原因が禅尼にあるとは考えたこともありませんでした。

しかし「平治の乱は源氏から仕掛けた乱であること」、「頼朝は源氏の次の棟梁であったこと」、「頼朝は当時13歳とはいえ武装して出陣していること」、「頼朝を処刑すべしの声が多かったらしいこと」を考えれば、身内の禅尼の説得を受け入れて頼朝を助命したことは政治を私する行為であるという見方があるのも理解できます。

歴史は役に立たない?役に立つかどうかは活かし方次第

「歴史なんて、なんの役にも立たない」と言う人もいますが、私はそんなことはないと思っています。

歴史や書物から得られる教訓はたくさんあります。

役に立つ、立たないは本人次第であり、活かし方次第ではないでしょうか。

たとえ役に立たないとしても、知識を得る楽しみを味わうことはできます。

「政治を私しない」は現代にも生きる教訓

「政治を私しない」は現代の企業経営にも活かせる教訓です。

公平な人材登用を心掛け、身内や側近だけでなく、会社に関係する全ての人がどう感じるか、想像することが重要です。

さて、貴方の職場では「政治を私しない」ために、どんな工夫をしているでしょうか?

秋の夜長に考えて見るのもいいかもしれません。

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