荘子と社会保険労務士という仕事

読書

こんにちは。


神奈川県鎌倉市の特定社会保険労務士・北村です。

今回は私の愛読書である荘子と社会保険労務士の仕事について記事を書きたいと思います。

自分の自然な本性を大切にする

荘子から学んだことは「自分の自然な本性を大切にすること」と「万物斉同」という考えです。


「自分の自然な本性を大切にすること」とは、貧富や貴賤など世間的な価値観ではなく、自分の心を大切にして生きるということです。

「自分の自然な本性を大切にすること」の基礎には「万物斉同」という考え方があります。

ある人にとっての善は、別の人には悪と映るかもしれません。

ある人にとっては美しく見えるものも、別の人には醜く映るかもしれません。

善悪や美醜に確かな規準はなく、誰もそれを決めることはできないのです。

このような考え方が「万物斉同」と呼ばれるものです。

であるのに世の多くの人々、もちろん私も含めて、小賢しい智慧を働かせて「あれは善い」「これは悪い」とお互いを傷つけあいながら生きています。

太鼓をたたいて脱走者をさがす

「自分の自然な本性を大切にすること」「万物斉同」の考え方からすると、今自分が社会保険労務士という仕事をしていることが奇妙に思えます。

私は社会保険労務士として日々、「労働基準法だ」「就業規則だ」「雇用契約書だ」と大声でわめき散らしながら他人の会社の問題に首を突っ込んでいます。

もし荘子に会えば次のように言うでしょう。

お前さんも〔自分で意識はしていなくても、〕自然な徳(もちまえ)にもとづいて行動し、自然に従って歩いていて、それでもう十分なのだ。それ以上に、あくせくと努力して仁義などを持ち出し、太鼓をたたいて脱走者をさがすようなことを、どうしてする必要があろう。ああ、お前さんは人間の自然な本性をかき乱しているのだよ。

荘子(著)金谷治(訳注) 岩波文庫 『荘子第二冊[外編]』

世間の中にあって自分な徳を失わないで生活できる人は稀

とはいえ、私も頼まれてもいないのに他人の会社の人間関係に勝手に首を突っ込んでいるわけではなく、依頼を受けて仕事をしています。

時には人から感謝されることもありますし、この仕事に喜びを感じることもあります。

今のところこの仕事以外に生活の糧を稼ぐ手段はないですし、当分の間は社会保険労務士の仕事を続けることになります。

社会保険労務士に限ったことではなく、世間の枠組みの中で生きるということは多かれ少なかれ人間の自然の本性をかき乱さざるを得ないということです。

世間から離れて生活できる人、そして世間の中にあって自然な徳(もちまえ)を失わないで生活できる人は稀です。

私はその域には到達できそうにありません。

きっと荘子は「せいぜい頑張りたまえ。私は君から離れるよ」と言って私に背を向けることでしょう。

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